体力的なものを抜いて、女が弱いだなんて思ってもいなかった。
そもそも私は自分が「女」であるという自覚があまりなかった。
でも私は「女」であって「弱い」とわかった。

大学2年の秋、学園祭の準備
サークルでたこやき屋をやるのに、同輩の家に泊り込んで材料の仕込み。
男3名女1名。とにかくたくさんの材料を切り刻んでいた。
私は風邪を引いていて、薬を飲んでいたこともあって
気分が悪くなり1人寝かせてもらった。
しばらくして気づくと、みんなも疲れたらしく、電気を消して寝る体勢に。
私はシングルベッドの上に寝ていて、私と壁の隙間に1人の男がもぐりこんだ。
その時点で嫌な予感はしたし、逃げるべきだった。
ベッドの上に誰かが乗ってこないように真ん中に寝ていたのに無駄だった。

しばらくして、みんなが寝静まった頃
隣にもぐりこんだやつの「イタズラ」が始まった。
キスに始まり、唇を指でなぞったり、胸の上にそっと手を置いてみたり。
私が起きないとわかると徐々にエスカレートして、
セーターの中に手を入れてきてお腹から胸までなで、
ブラをずらして乳首の上を何度もなぞる。
まるで乳頭陥没を何度も何度も確かめるように。
それからジーンズのボタンに手をかけ、ファスナーをおろし、
ショーツの中に手を滑り込ませてなでる。
指はどんどん下に降りていって、中に入れるまでは行かなかったけど
ゆっくりゆっくり下腹部の辺りを何往復もした。

恥ずかしくて「助けて」とも言えない。
「やめろ」と言えるほどの度胸もない。
さりげなく寝返りを打って触れないようにとも思ったけど
動いたら私が起きていて気づいたとばれてしまう。
下手に声を出したり身体を動かすと、他の2人にばれる。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
当時の私は、Hどころかキスもしたことがなかった。
だから男に身体中を触られたのも初めて。
少し感じてしまったのも隠せない事実。でも嫌だった。嫌でたまらなかった。
その時に、「あ、女ってこういう意味で弱いんだ。これが女っていうものなんだ」
と知った。

次の日何も知らなかったように起きて、学園祭で忙しく働くけど、
笑顔は表面だけで心の中は沈んでいた。
その当時好きだった男の子とは目も合わせられず、
仲がよかっただけに心配されるのがまた辛かった。
そのままその男の子の前では素直になれなくなった。
やった当人とはしゃべれなくなった。でも恨みとか悲しみとかじゃなくて
心の中に隙間風が入ってきた感じ。
後日わかったことだけど、寝ていたはずの二人も気づいていたらしい。
だったらさりげなく助けろよ、と思ったけど
私が嫌か喜んでいるかなんてわからないだろうし
私が処女だと言うことも知らないだろうし
過ぎたことだから仕方がないか、と思うことにした。

普段から痴漢に遭うことが多く、胸やお尻はよく触られてたけど
そういうのはあまり気にならない。悲しくもなければ怒りもしない。
でもその時だけは違った。男を甘く見ていたのか、
仲間だからと言って信頼しすぎていたのか、私が世間知らずだったのか。
それからは自棄になったわけでもなく、誰にキスされようが体触られようが
あまり気にならなくなった。

そいつらとは今でも付き合いがある。
やった当人とも時々顔を合わせる。でもやっぱり恨みはない。
でも顔を見るだけでむかつく。単純に仲が悪いだけだと思うけど。
今思うと、いっそのこと3人で襲ってくれた方がましだったんじゃないかと思う。
わけもなく。

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JUN

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